経済ニュースvol.2

- 春闘で別れた判断 -

2012/03/16(金曜日)

『春闘一斉回答』

平成24年春闘では、「賃金水準を引き上げるベアのゼロ回答」、「一時金の前年割れ」という回答が目立った。トヨタ自動車が一時金に満額回答するなど、自動車業界は概ね2012年3月期連結業績見通しでは黒字を確保。労組も自然災害に加え、長期化する円高に苦しみながらも立て直した点を評価の焦点とした。対して、家電各社は大手電機はシャープが定期昇給(定昇)の一時凍結を回答。三菱電機は早々に定昇維持の方針を決めたが、パナソニックは交渉が最後までもつれるなど厳しい現状となった。

『家電部門の苦戦続く』 -引用-
「巨額の赤字で世界経済は予測不能だ。会社の状況を組合側も共有できていると思う」
今期、過去最悪となる2900億円の最終赤字を計上する見通しのシャープ首脳は苦悩をにじませる。主力の液晶パネルや太陽電池は、円高や中韓メーカーとの競争激化などで採算が悪化。雇用を維持したまま業績を回復するには人件費を抑制する必要があると判断した。

パナソニックは労組の要求に応じ定昇維持で決着。だが、パナソニックは24年3月期は過去最悪となる7800億円の最終赤字に転落する見通しで、回答日の14日までギリギリの交渉が続いた。インフラ事業が堅調な三菱電機などの関東勢に対し、家電中心で業績が低迷するシャープやパナソニックの苦境がくっきり表れたかたちだ。

『定昇凍結は可能か』
定昇凍結に向けた労使協議では今後も難航も予想される。
家電メーカーは、生産拠点の縮小や海外移転などで雇用需要は確実に減少し、売上も減少するなどマイナス傾向である。中でも近年加速するテレビ部門は1インチ1000円割れなど、海外メーカーとの価格競争で、利益の期待は出来ない。赤字が進めばリストラが不可避となり雇用維持が困難になれば、労組側も雇用維持を優先せざるを得ないため、要求を引き下げるを得ない。企業にとっても労組にとっても、共倒れの結果となってしまう。

消費者態度指数も2月は悪化し、ボーナスも軒並み前年割れとなっている。4月以降はまた若干の消費の回復は見込めるであろうが、それでも季節的、一時的なものであり、根本的な解決には至らない。現状のままでは、その場凌ぎの延命を図り、徐々に弱体化していくのを待っているだけである。雇用を維持し、国内生産と消費を確保するためには、やはりここで賃金制度を見直し、会社業績にリンクさせる様な制度に一度大きく改める必要があるのではないだろうか。

 

- エルピーダメモリ破綻に見る日本の生産 -

2012/03/1(木曜日)

『エルピーダ 自力再建断念、会社更生法申請へ』

半導体大手エルピーダメモリが27日に会社更生法の適用を申請したことを受け、三井住友トラスト・ホールディングスが28日、融資などの債権193億円が取り立て不能になる恐れがあると発表するなど債権者の損失が相次いで表面化した。-産経ニュース引用

『半導体業界の事業環境の厳しさが改めて認識された』
半導体メモリー「DRAM」を国内で唯一製造するエルピーダメモリは27日、自力再建を断念し、東京地裁に会社更生法を申請する方針を固めた。
エルピーダは産業活力再生特別措置法(産活法)に基づき、政府から公的資金による資本注入などの支援を受けていたが、半導体市況の悪化や急激な円高で資金繰りが行き詰まった。-引用


 

『技術の日本に足りない物とは』
昔は技術力の日本と言われていましたが、残念な結果となってしまいました。エルピーダメモリは先日公開された米アップルの部品調達リスト先企業にも名を連ねており、その技術力が衰えたわけではありませんでした。しかし、企業を存続させるだけの利益までは定期的に生み続けることはできなかったようです。

一時期に比べ値段が大幅に安くなったパソコン市場。
HDDや、CPUモニタ―などが各段に高性能になったにも関わらず、大量生産が可能となり、値段が下がるという逆転現象的なことがおこっていました。もちろんそれはメモリ市場も例外ではなく、さらに円高により致命的な煽りを受けた形となってしまったのでしょう。

エルピーダは確かにサムスン、ハイニックスなどと比べても遜色ない、むしろ高い数値をマークする商品も提供していました。しかし価格や供給力、商品対応力を考慮した「総合判断の段階」で、日本企業はやや分が悪く、遅れを取ることもあります。

日本企業は確かに高い技術力を持っているが、世界水準も過去に比べ随分と上がっており、現在は総合力で判断される時代なのです。


『今後エルピーダは生き残れるのか・・・』

では今後の打開策はどうあるべきか。

一時期提携先の候補として上がっていた企業担当者の不幸もエルピーダには不運でした。

提携先の模索は今後も継続していくことになるでしょう。


 技術としましては、画期的な新技術の開発には時間と費用がかかり、また絶対に開発が成功するというものでもありません。出来るところからと言えば、先にあげた価格と供給の見直しからとりかかることになるでしょうか。企業努力は出来ることをやっていると思いますが、賃金の見直しや社内整備による大幅な縮小化、さらに大きな改革の一歩が必要な時期であることは間違いないでしょう。

 

本来ならば、事業自体の撤退や見直しも考えらえるが、もともとメモリーに特化した企業としてスタートしているため、新事業もかなりのハードルです。どちらにせよ、かなり厳しい立場です。

 


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